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分ける、束ねる(7;ブランドの性格に応じた議論の重要性)

 ここまで、幾つかのブランドが何を志向しているか?を整理してきました。ここから議論を進める為には、何故、こんなことをやってるか?お話したいと思います。

 ブランドには「人々の心の中に有る印象の強さ」とか「刻印を由来とし、お墨付きや他との違い」であるという多くの解釈が有りますね。

 これは商材の違い、そのSTP(セグメント、ターゲット、ポジション)によって、実際の運営では、全部同じではない、ということを明確にしたかったからです。

 例えば、

★これから立ち上げる”焼き菓子(アレルギー対応)のブランド”

★歴史と創造性が有り、粗利率が極めて高い”世界規模の腕時計ブランド”

★路面店を中心に、特定顧客のニーズを満たす”セレクトショップブランド”

 これらには、差別化要素とか顧客満足度とか、確かに共通して重要です。しかし、あるブランドで重要であるとしても、違うブランドでは実施が難しいこともあるはずです。

 自分の経験だけを全て、としてゴチャゴチャの議論をすることは、他者にとって不親切である場合が多いと、私は思うのです。

 そんなこと当たり前、と言われますが、皆さんのチームで”ブランド化”とか、“オムニチャネル化”とかの討議で、話があっちこっちに向かうことは有ると思います。

 これは、発展段階や規模、粗利額が異なるのを一緒にして、ベンチマークとか参考事例と言ってることが原因、という場合があります。

 前提条件がズレズレの議論は、チームを不幸にします。

 違いを明確にしながら、他を認め、学び、次にどうするか? 落ち着いて話すべき、というのが今日の締めです☆

 

 

分ける、束ねる(6;ラグジュアリーブランドⅢ ルイヴィトン)

 ラグジュアリーブランドの中でも、その歴史、テーマ性、商材の幅、において圧倒的な存在であるのは、ルイヴィトンであると私は感じます。ルイヴィトンは、LVMHグループに属し、いわゆる”コングロマリット系”であることは、周知のとおりです。

 一説に”コングロマリット系”はブランドを錬金術のツールとしている、という議論があると察します。グループとしての成長性、収益性の高さ、取引条件の厳しさから、そのような見方を生むのかもしれません。

 今回に考えたいのは、それら数字や割合の話ではなく、このブランドのモノ創りのテーマ、考え方の話です。

 ご存知のように、このブランドを貫く主題(テーマ)は旅です。19世紀後半に始まる創始者の仕事は、当時に流行となる上流階級の長距離移動に関連していました。

「機能性と可動性の中にオブジェの美を認める、大いなるフランス流シックが基盤になっています」

 何事も解釈には多様があります。このブランドでは、バッグ、財布、アパレルと商材の違いがあったり、コラボレーションによって創造者が異なったとしても、上記の思想は、全てに貫かれていると感じます。

 このように、ブランドの全てにエッセンスを含ませ、地域を超えて多くの人々を魅了させるのも、ラグジュアリーブランドが有する特徴であると思います。

*2016年 展示会から 
https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/heritage-savoir-faire/tokyo-expo

分ける、束ねる(5;ラグジュアリーブランドⅡ エルメス)

 引き続き、ラグジュアリーブランドです。今回はエルメスについて、2014年末に開催された「レザー・フォーエバー展」を通じて、束ねてみようと思います。

この展示会を紹介するWWDの記事があります。

https://www.wwdjapan.com/233707

なぜ、エルメスはこの展示会を開催し、無料で来場者を魅了したのでしょうか?

★ラグジュアリーブランドの中でも、エルメスは”独立系×職人優位”のスタイルをとっている。

レザーをどう扱い、その選び方、作り方は、非常に長い間の愛用に耐える。
この特徴を再度、ファンの皆さんへ直接伝えたかった。

★ブランドと日本とが、どんな結びつきなのか?明確にしたかった。

という視点があると、私は考えます。会場に入るとレザーに関する展示を多く続き、上記を物語っています。

⇒これは、こだわりの有るモノづくり体制が実現してくれます。

⇒時を超えても枯れることを知らない知恵が備わっているのです。このフレーズには愛用が極めて自然な姿として、顧客に染み付くことを表します。

 こちらが ”独立系×職人優位”のスタイルであることは、独自路線を歩むことを、ブランドを ROIのみで測らない、中長期での価値保有を前提とする運営を実現させます。

 他では不可能な”深さ”。それゆえにフォーエバーなのです。

分ける、束ねる(4;ラグジュアリーブランドⅠ)

Hans / Pixabay

 ブランドは、その出自や対象マーケットにより、幾つかの分類が有ることを第一回目で説明しました。

 今回はその中でも、ラグジュアリーブランドと呼ばれる、最も高端に位置する部分を対象として考えてみましょう。

 よく議論となるのは、ラグジュアリーブランドの定義ですね。

長年にわたる、こだわりの有るモノづくり体制、それに伴う高端価格。

製品、販売場所の希少性

(販売場所は世界各拠点であり、流通手段を完全掌握)。

★他のブランドと明らかに違うと、周囲から認識される。

★結果として、人々の心の中に生まれる”強烈な印象”

このような視点が含まれるのではないでしょうか?

(日経ビジネス20121203 ブルガリグループ Mバーグ氏 談より)

なぜ、これを整理したか?と言えば、「長年の商売の歴史だけでは、ラグジュアリーではない」ことは明確にするべきと、私が考えるからです。

日本にも、尊敬すべき歴史を持つモノづくりの老舗があります。そこから、「なぜ日本発の高級世界ブランドが生まれないか?」という議論が出ます。

しかし、どうでしょう。

「販売拠点が世界各地に有る⇒ある生活を嗜好する各地の方々に認められる」

「流通手段の完全掌握」

「製品、広告、販売、アフターサービスなどの明らかな独自性」

これらについては、実現していないのが現実と考えます。

いろいろな現実を混同せず、また、都合が悪い部分を隠さず、分類を幾つか持って、ブランドを議論することは、結果的に自らの定義の価値を上げることになると、私は考えます。

分ける、束ねる(3;アッパーブランドを束ねる)

Photo by Daria Shevtsova on Pexels.com

 ミドルアッパーブランドの活性化については、顧客の生活スタイルから入り、商品の定義を見直す必要が有る、という話を前回しました。

 その実践にはどんな方式が有るか?というのが、今回の話です。ブランドのエッセンスを束ねて、顧客への表現力を高めるには、ずばり「路面店を出店できるか?」にかかっていると考えます。

 「え、今更なぜ路面店?」「百貨店ブランドだよ?」と言われそうですね。その視点は理解しますが、

 ●そのブランドへの訪問を最終目的にできるか?(偶然じゃ弱いです)

 ●1年間52週、毎週の顧客ニーズに対応する商品構成を提案できるか?

 ●顧客の個人的な”好き”に対応する為に、ブランドや販売員の独自ルールを貫くことができるか?

こんな前提を用意して、実践しようとすると、路面店という選択肢が出てくると思います。

 上記の3つ、それは規模の問題じゃなく、密度の問題です。路面店の運営コストは百貨店のそれとは異なるし、管理能力も問われます。ただ、

 ●大手セレクトショップが、幾つかの高級業態で路面店を運営し、集客しなくてもお客様から選ばれる状態にあること。

 ●自社のオムニチャネル政策を更に広げるために、どうするのが良いか?

この視点を考えると、路面店という選択肢も無謀ではない、私は考えます。

分ける、束ねる(2;アッパーブランドを分ける)

Photo by Artem Bali on Pexels.com

 百貨店には、いろいろなブランドが有ります。その中でも、ミドルアッパーと言われるゾーンについて、考えてみましょう。

 ミドルアッパーブランドとは、百貨店立地に多く出店し、顧客購買で一定割合以上を占めているブランドですね。オンワード樫山、ワールド(フィールズインターナショナル)、三陽商会などで幾つかの例を見ることができます。

 嘗て(80年代以降~2010年ごろ)は、このブランド群は、稼ぎ頭でした。お客様のニーズは、”品種×ほどよいトレンド感”であり、デザインではBASIC型のシェアが高くSPAビジネスモデルが最も発揮されたのです。

 そして現在、ミドルアッパーブランドの多くは、

 ★購買客層の高齢化

 ★過去踏襲のデザイン

 ★消化率の低下

に苦しんでいます。百貨店に平場が有った時、”そこよりも価格が上”でアッパーと呼ばれましたが、各種の情報が飛び交う中で、何がアッパー?と見られるようです

 これらの活性化には、「素材差別化」「魅せ筋商品のシェアアップ」などが有り、実際例も増えています。

 しかし、それが評価される場合は、「どんなお客様の願望を満たすか?」に焦点が有っている場合が多いと感じます。つまり、商材から入るのではなく、顧客の生活スタイルから入る、ということが重要という意味です。

 このゾーンの商品は、相対的には安価なものではないです。だからこそ、「その1点は、私に何をしてくれるの?」の疑問に応える、そうしないと、多くを経験している方々が「また買おう!」という流れにならない、と私は考えます。

 

分ける、束ねる(1;ブランドを分ける)

Susbany / Pixabay

ある会合に参加していて、はっと!気づいたことがあります。

「多くのファッション論、ブランド論が有るが、2019年現在、かなり混同しており、旧来型の片方が良く、もう一方が悪いという話が横行しているな」と。

ファッション論では、その目的を個性の表現と置いたらなら、これはいろいろな議論が有ってよいでしょう。

しかし、ブランド論では、その対象とするマーケット別に分けて議論したら、もっと誤解が少ないのでは、と思うのです。

例えば、高級品マーケットでも、

★ラグジュアリー マーケット

★プレミアム(アフォーダブルラグジュアリー)マーケット

★ミドルアッパー マーケット

と分けることが可能で、それぞれに運営の目的顧客との関係性構築優先KPIの選択などは違いがあると考えられます。

現在では、C2Cのビジネスでは、同じようなTシャツでも、その付加価値により100円も10万円も同じサイトで販売されることがあります。ただ、それぞれがどんな背景で企画され、初めて顧客に届けられたか?のプロセスでは、これまでに述べた”違い”が有ったと考えるのが自然でしょう。

暫くの間、「分ける、束ねる」の視点で、ブランドの在り方を見てゆきたいと思います。